4月9日始業式。校長として在校生の前で初めて講話をしました。コロナのため学年ごとに対策をとって実施。生徒たちは思いのほか元気に新学年のスタートを切りました。
「校長として、ここにいるみなさんに卒業証書を渡す日を楽しみに、皆さんの高校生活を応援していきます。」 冒頭に生徒へ挨拶したあと、こんな話を続けました。(やや手短に紹介)
「この一年間、新型コロナで行動が制限され、今まで当たり前だったことができない苦しみ、イライラを私たちだけでなく、日本中、世界中の人たちが実感してきました。みなさんが、この一年間の経験を通して、気づいたこと、学んだことは何だったでしょうか?」
「・・・・・」
誰か手を挙げて答えてくれないかと生徒の顔を見回すと、ほとんどの生徒が私と目を合わせません。私を当てないで、聞かないでという顔をしています。
「次の質問。もし、コロナがなかったら、今と違うどんな未来があったでしょうか?」
「・・・・・」
何人かの生徒がぼそぼそと答えてくれました。生徒の答えを受け取って私はこう続けました。
「私はこう思います。マスクをはずしてお互いの顔を見て、今以上に笑い話ができたかもしれない。教室でお互いに悩んでいること、考えていることを話して、今以上に深い関係ができたかも。そして、体育大会や学校祭、予餞会など生徒会行事が中止・縮小されず普通に実施されていたなら、クラス内の人間関係も深まり、今以上にたくさんの思い出ができたかもしれません。
・・・でも、この一年はもう二度と取り戻りません。二度と。みなさんも、私も。
・・・そこで、こう考えてほしいと思います。
今までできなかったことを嘆くより、これからの一年は、今できることを見つけて大切に実行してほしいです。」
それぞれの生徒が心に秘めた決意と行動力を発揮して、たとえ縛られた環境の中でも、できることを精一杯取り組んで欲しいという激励の気持ちを込めて話しました。
この講話が終わって生徒に感想を聞いてみると、「内容よりも、今まで普通の先生だったのに校長になっていたので違和感が・・・」との返答。・・・そうかもしれません。