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ある明峰生のはなし(その6・最終回)

校⻑だより

前回の続きです。今回で最終回になります。お付き合いください。

不登校の中学時代から小樽明峰高校での新しい学校生活をはじめた彼女は、人見知りとは思えないほど、人前で話すことが上手な高校生に変わっていきました。

彼女を変えたもののひとつは「自分の気持ちを自分の言葉で話すこと」「自分ならどう言ってもらえたら嬉しいだろうな」という相手をイメージした対人関係の自覚でした。高校に入ってから意識するようになったこうした考え方は、彼女自身を成長させていきました。

今までできなかったことに挑戦していく。その思いは彼女を生徒会活動へ導きました。「帰りが遅くて辛い。」「忙しくて心が折れそうになった。」「てんぱった!」と彼女は、生徒会活動を始めた頃の自分を振り返って楽しそうに話します。

こうして彼女は今、本校の3年生になりました。人は変われるんですね。無理だろうと思っていたことも。一歩でも前に進みたいという思いが芽生えたなら、道は開けるのかもしれない。・・・私は、入学して以来彼女と関わってそう教えられました。

「1年って短いな~。中学の時は 一日が長かった。まだ10分しかたっていないという感じでしたが、今は一日が濃くなりました。」と笑いながら彼女は言います。

自分で何か目的を持って行動していると毎日が変わる。とても勇気のいることだけれど、自分で決めたことをやることで、私にもできるかもしれないという思いが芽生える。その積み重ねで人は強くなり自信を持てる人間へと成長する。その一歩を踏みだせるきっかけがこの学校にあると私は思っています。

彼女は今、本校の3年生。今後のオープンスクールや学校説明会では、小樽明峰高校の生徒として中学生をお迎えするでしょう。彼女がどんな顔をして中学生たちを迎えるか楽しみです。私は、この学校が不登校や集団生活に苦労した生徒たちが学校生活をやり直せるひとつの居場所なのだと確信しています。そして私は、彼女が卒業するまで、いや卒業してからもずっと見守り続けていきたいと思っています。他の生徒たちも同じように・・・。

小樽明峰高校 校長 石澤 隆一

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